表紙：【単針式電信機】
（19世紀～20世紀初期）
（占部 浩氏）

• <世界の歴史的道具コレクション>
  【アストロラーベ】（～18世紀）
  単針式電信とは、電磁力で動く指示針を用いてメッセージを表示する電気電信機です。こうしたニードル電信機は、19世紀の大半、イギリスの電信の標準を担い、20世紀に入っても使用されたものもありました。イラストのモデルは1846年にイギリスのウイリアム・リードが製作したもので、背面から見た内部の様子を作画したものです。表面の針を動作させる電流の磁気効果を増幅するコイルに、遠方に正確に情報を伝えるための工夫がみられます。現代では膨大な通信網から、瞬時に情報を収集してAIで処理することも可能ですが、こうしたテクノロジーにもつながる、最初期の通信を支えた道具の１つです。イラスト制作にあたっては、シンプルながら精緻に作り込まれた優れた道具の表情を描画してみました。